それとも「しばらく様子を見る」べき?
こんにちは。いそ歯科医院 院長の大川です。
インプラント相談で、とても多いのがこの質問です。

- 「もう抜いてインプラントにした方がいいですか?」
- 「今はまだ歯が残っているので、ギリギリまで様子を見たいのですが…」
- 「先生としては、いつ頃やるのが一番いいと思いますか?」
正直に言うと、
「○ヶ月以内にインプラントにすべき」という一律の正解はありません。
ただし、「どんな場合は急いだ方がよくて、どんな場合は様子を見てもいいのか」の考え方の軸はあります。
今回は、
- インプラントを急いだ方がいい可能性があるケース
- 逆に、様子を見た方がいい、あるいは他の選択肢を優先した方がいいケース
- いそ歯科医院での「タイミングの決め方」
を、できるだけ具体的にお話しします。
1. まず押さえておきたい「3つの視点」
インプラントを「今やるか・待つか」を考えるとき、当院では主に次の3つの視点で整理しています。
- その歯の「残せる可能性」はどのくらいあるか?
- 今後の「骨の量」がどのくらい守れそうか?
- 全身状態・生活のタイミングはどうか?
この3つのバランスで、
- 「今は抜歯+インプラント方向で考えた方が良さそう」
- 「まずは歯を残す治療を試してみて、経過を見てから判断」
- 「インプラント治療自体は、全身状態がもう少し整ってから」
などを、一緒に決めていきます。
2. 「比較的早めにインプラント方向を検討した方がよい」ケース
あくまで一般論ですが、次のようなケースではあまり長い様子見はおすすめしにくいことが多いです。
① 歯根が縦に割れている・ヒビが深い
歯に大きな亀裂(歯根破折)が入り、根の先まで割れが及んでいる場合や、何度も腫れや膿を繰り返している場合があります。
このような歯は、
「頑張って残そう」としても、骨を溶かしながらトラブルを繰り返すことが多くなります。
その結果、
- 抜歯の頃には骨の高さや厚みがかなり減ってしまう
- インプラントを入れるスペースを確保するために、骨造成(GBRなど)を大きく行わざるを得ない
といったことも少なくありません。
② 重度の歯周病で、すでに歯が大きく揺れている
以下のような場合も注意が必要です。
- 動揺度が大きく、噛むたびに歯が揺れて痛む
- レントゲンで見ると、根の先に近いところまで骨が吸収している
「無理に長期間残そうとする」ことで、周りの骨をさらに失うことがあります。
その場合は、
- まず歯周病治療で炎症をできる限り抑えた上で、
- 「この歯をあくまで残すのか」「ある段階で抜歯に切り替えるのか」
を一緒に決めていくことが大切です。
③ 繰り返す根尖病変で、予後がかなり厳しいと判断される場合
以下のような状態が続く場合があります。
- 根管治療(もしくは再治療)をしっかり行っても、定期的に腫れや痛みを繰り返す
- CTで見ると、根の先の病変が大きく、周囲の骨がかなり失われている
こうした場合も、
「何年も腫れと薬の繰り返し」より、ある程度のタイミングで治療方針を切り替えた方が良い
ケースがあります。
3. 「しばらく様子を見ながら考えて良い」ケース
一方で、以下のようなケースでは、すぐにインプラントに飛びつく必要はないことが多いです。
① 根管治療や歯周治療で、まだ改善の余地がある歯
以下のような状況であれば、保存治療を試す価値があります。
- まだきちんとした根管治療が行われていない
- 歯周病治療やブラッシング指導をすることで、炎症が落ち着く可能性がある
このような歯を「今すぐインプラントにしましょう」と決めてしまうのは、少し早い場合があります。
まずはきちんと保存治療を行い、その反応を見てからインプラントを検討しても良いケースです。
② 痛みや腫れがなく、機能的にはまだ使えている歯
以下のような場合も、急ぐ必要はありません。
- レントゲンでは問題があるものの、自覚症状はほとんどない
- 噛む力をそこまで強くかけていない部位
こういった場合は、
- 定期的なチェックを続けながら
- 「トラブルが出てきたタイミングで次の一手を考える」
という戦略も十分あり得ます。
もちろん、「どうしても心配で、不安を抱えながら過ごしたくない」という方もいるので、不安感の強さも含めて相談して決めていきます。
4. 「あえてインプラントを急がない」方が良い全身・生活の事情
歯の状態だけでなく、全身の状況や生活の予定から考えてインプラントを急がない方が良いケースもあります。
たとえば、以下のような場合です。
① 全身疾患や服用薬のコントロールが不十分なとき
- 血糖値がかなり不安定な糖尿病
- 強い免疫抑制剤・抗凝固薬を使用中
- 心疾患や脳血管疾患の直後など
このような場合は、
まずは主治医と連携し、全身状態が安定してから
インプラントを検討した方が、安全性が高くなります。
② 近いうちに大きな手術・長期治療の予定があるとき
- 別の科での手術(整形外科・心臓・がん治療など)が控えている
- しばらく通院や体力に余裕がなくなることが予想される
そんなときに、無理にインプラント手術を詰め込む必要はありません。
抜歯だけを先に行って感染源を減らし、仮義歯などでしのぎながら、全身の治療が落ち着いた後にインプラントの検討…という流れも一つの方法です。
③ 精神的・金銭的な準備が整っていないとき
- 説明を聞いたものの、まだ気持ちの整理がつかない
- 費用の見通しや、今後の治療計画を家族と相談したい
このような場合も、
「一度持ち帰って、落ち着いて考えてください」
とお伝えすることが少なくありません。
焦って契約してしまうより、一度冷静になってから決めた方が、後悔が少ないと感じています。
5. 「抜歯と同時インプラント」か「抜歯後に待ってから」か
タイミングの話でよく出てくるのが、
- 抜歯即時インプラント(抜歯と同じタイミングで埋入)
- 抜歯後インプラント(骨・歯ぐきが落ち着くのを待ってから)
どちらが良いのか?という問題です。
抜歯即時インプラントのイメージ
- 処置回数が少なくて済む
- 骨のボリュームを一定程度保ちやすい場合もある
- 条件が整っていれば、有効な選択肢の一つ
ただし、
- 炎症が強い・骨の欠損が大きい場合には適さない
- 初期固定(インプラントの安定)が得にくいケースもある
など、対象を慎重に選ぶ必要がある方法です。
抜歯後インプラントのイメージ
- 抜歯後に骨・歯ぐきの治り方を観察できる
- 感染が落ち着いてから、より冷静に設計できる
一方で、
- 抜歯後に自然な骨吸収が進むため、場合によっては骨造成が必要になることもあります
どちらが正解というより、
歯の状態・骨の量・炎症の有無・全身状態
を踏まえて、その方にとってメリットの大きいタイミングを選ぶ、というイメージになります。
6. いそ歯科医院での「タイミング」の決め方
当院では、インプラントのタイミングについて、以下の3つの視点から検討します。
- 保存の可能性がある歯かどうか
- 根管治療・歯周治療でどこまで改善が期待できるか
- 「延命」ではなく「現実的な予後」が見込めるか
- 今抜くことで骨・歯ぐきを守れるかどうか
- 放置すると骨の欠損が広がってしまいそうか
- 抜歯のタイミングをずらすことで、かえってインプラント条件が悪くならないか
- 全身状態・生活のタイミング
- 他科の治療との兼ね合い
- お仕事・介護・家族の事情
- ご本人の気持ち・不安の強さ
この3つを一緒に整理しながら、
「今やる」/「一度歯を残す治療を試してから考える」/「抜歯だけ行い、インプラントは後で」
など、いくつかのパターンをご提案するようにしています。
7. まとめ:「今すぐか、様子見か」は一緒に決めるもの
インプラントのタイミングについて、ポイントをまとめると、
- 歯根破折や重度歯周病など、無理に残すことで骨を大きく失ってしまう歯もある
- 一方で、根管治療・歯周治療でまだ改善の余地がある歯も多い
- 全身の病気や他科の手術予定、心と財布の準備も含めて、「今は動かない方が安全」な場合もある
- 「抜歯即時インプラント」と「抜歯後インプラント」にはそれぞれ向き不向きがあり、条件次第
ということになります。
大切なのは、
「今やるべき」と「今は様子を見る」の間に、いくつかの選択肢や段階がある
ということを知っていただくことだと思います。
- 他院で「すぐインプラントにした方がいい」と言われて不安になっている
- 逆に「もう限界」と言われた歯を、どこまで残すべきか悩んでいる
という方も、一度お口の状態と生活背景を一緒に整理しながら、
「今の自分にとって無理のないタイミング」
を考えていければと思います。
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