「全部切りそろえればいい」わけではない理由
こんにちは。いそ歯科医院 院長の大川です。
鏡やスマホの自撮りで笑ったときに、

- 右と左で歯ぐきの高さが違う
- ある歯だけ歯ぐきが下に長くかぶっている
- ガミースマイルほどではないが、どこかアンバランスに見える
といったお悩みをお持ちの方は、実は少なくありません。
最近はSNSや写真アプリで口元をアップにする機会も増え、「今まで気づかなかった細かいところが、急に気になるようになった」という声もよく聞きます。
一方で、
- 歯ぐきを切って揃えればいいのか?
- セラミックで全部やり直さないと無理なのか?
- そもそも、どこまで治療で変えられるのか?
という疑問や不安も多い部分です。
今回は、歯ぐきのラインが揃っていないことが気になる方に向けて、
- 歯ぐきの高さが不揃いに見える主な原因
- 「歯ぐきを切ればいい」だけではない理由
- 当院が考える、やりすぎない歯ぐき・審美治療の考え方
をお話ししたいと思います。
1. なぜ歯ぐきのラインが不揃いに見えるのか?
まず、「歯ぐきが不揃いに見える」原因は1つではありません。
代表的には、次のようなものがあります。
- 歯自体の位置や傾きの違い
- ほんの少しねじれて生えている
- 奥に引っ込んでいる/前に出ている
- 歯の長さ・形の違い
- 歯の先端がすり減って短くなっている
- 被せ物の形が左右で違う
- 歯ぐきの腫れ・炎症
- 軽い歯周炎やブラッシング不足で、一部だけ歯ぐきが腫れて”下がって見える/上がって見える”
- 歯ぐきが下がってしまった(歯肉退縮)部分
- 歯の根が露出して、逆にその歯だけ歯ぐきが「高く」見える
このように、原因は「歯ぐき」だけとは限りません。
そのため、いきなり歯ぐきだけを切ったり、セラミックにしたりする前に、
歯・歯ぐき・噛み合わせをまとめて診る必要がある
というのが、歯科医側の正直な感覚です。
2. 「歯ぐきを切って揃える」だけが解決策ではない
歯ぐきの高さをそろえる治療として、
- 歯肉整形
- 歯冠長延長術(クラウンレングスニング)
といった外科的な方法があります。
表面的には「歯ぐきを少しカットして揃える」ように見えますが、実際にはもう少し慎重な判断が必要です。
歯ぐきを切りすぎると…
- 歯根が露出し、知覚過敏が出やすくなる
- 歯が「やたら長く」見えてしまう
- 長期的には、歯周病のコントロールが難しくなる可能性もある
など、「見た目は一見そろったが、その後が大変」というケースもあり得ます。
また、歯ぐきの高さは歯槽骨の位置(骨の高さ)とも関係しています。
骨の状態を無視して歯ぐきだけ切ってしまうと、予期せぬトラブルを招くことにもつながります。
3. まずは「炎症がない状態」での歯ぐきのラインを確認します
当院では、歯ぐきのラインが気になるとご相談いただいた場合でも、いきなり外科的な話には進まず、まずは次のステップを踏みます。
① 歯ぐきの炎症の有無をチェック
- 歯周ポケット・出血の有無
- プラーク(汚れ)の付き具合
② クリーニング・ブラッシング指導を行う
- 炎症をできるだけ落ち着かせる
- 必要に応じて、歯石除去や歯周初期治療
③ 炎症が落ち着いた状態で、改めて歯ぐきのラインを評価
- 腫れが引くだけで、ラインがかなり整うこともあります
このステップだけで、
「最初に感じていたほどの不揃い感は気にならなくなった」
という方も少なくありません。
4. 歯の形・長さの調整で見え方が変わることもあります
歯ぐきそのものをいじらなくても、
- 歯の先端(切縁)の長さやカーブ
- 被せ物(セラミック)の形態
- 歯の表面のわずかな丸み
を調整することで、**「見た目としてのバランス」**が大きく改善することもあります。
特に、
- すでにセラミッククラウンや差し歯が入っている前歯
- 歯がすり減って短くなっている前歯
では、歯の形や長さの設計でカバーできる範囲が意外と広いものです。
当院では、
- まずは歯の形・長さでどこまで調整できるか
- それでも気になる部分だけ、必要最小限の歯肉整形を併用するか
という順番で検討することが多いです。
5. 本当に歯ぐきの外科処置が必要なケースとは?
それでも、次のような場合には、歯ぐきに対する外科的なアプローチ(歯肉形成・歯冠長延長)が有効となることもあります。
- どう見ても1本だけ極端に歯ぐきが下がりすぎている
- むしろ歯ぐきがかぶりすぎていて、歯が極端に短く見える
- すでに歯周治療・形態修正を行っても、どうしてもバランスが取れない
その場合でも、
- レントゲン・必要に応じてCTで骨の位置を確認
- 歯周組織の厚み・歯根の長さを検討
- 将来的な知覚過敏や歯周状態の変化も見越して、「どこまでなら切っても良いか」を慎重に決める
といったプロセスが欠かせません。
6. 「完璧な左右対称」を目指さない、という選択肢
審美歯科というと、
「左右対称に、教科書のような理想形に」
というイメージを持たれる方も多いのですが、実際の人の顔や表情は、完全な左右対称ではありません。
むしろ、ほんの少しの非対称性があることで、
- その人らしい表情
- 柔らかい印象
が生まれていることも少なくありません。
当院では、
- 「真正面からじっと見たとき」だけではなく
- 「実際に笑ったとき・話しているときの見え方」
を重視して判断するようにしています。
完璧な左右対称を狙って、歯や歯ぐきに大きな負担をかけてしまうよりも、ほどほどのバランスで”その人らしい口元”を残す
という考え方も、とても大切だと考えています。
7. まとめ:歯ぐき・歯の形・噛み合わせをセットで考えましょう
歯ぐきのラインが揃っていないと、
- 写真に写った自分の笑顔が気になる
- 人前で大きく笑うのをためらってしまう
など、日常生活の小さな場面で気になり続けることがあります。
一方で、
「歯ぐきを切ればすぐ解決する」「全部セラミックにすればきれいになる」
といった”分かりやすい”解決策だけが、いつもベストとは限りません。
- 歯ぐきの炎症を落ち着かせたうえでの本来のライン
- 歯の長さ・形を調整することでカバーできる範囲
- 必要最小限の歯肉整形で済むのか
- 将来の歯周状態や知覚過敏リスク
こうした要素を一緒に整理しながら、「やりすぎない」ラインを探していくことが大切だと思います。
ご相談をお考えの方へ
- 歯ぐきの高さが左右で違うのが気になる
- ガミースマイルほどではないが、口元がどこかアンバランスに見える
- セラミックや外科処置が必要なのか、話だけ聞いてみたい
という方は、まずはお口全体の状態を確認し、考えられる選択肢を整理するところから始めませんか。
その場で治療方法を決めていただく必要はありません。
資料をお渡ししますので、ご自宅でゆっくり検討していただいて構いません。
「歯ぐきのラインをどうするか」も、お顔全体・今後のメンテナンス・歯への負担を含めて一緒に考えていきましょう。
お気軽にご相談ください。
当院では審美歯科の無料相談を行っております。是非ご利用ください!
いそ歯科医院 歯周病ホームページ https://www.isodent.
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