削りすぎないセラミック治療の考え方
こんにちは。いそ歯科医院 院長の大川です。
鏡を見たときに、
- 前歯の間に少しすき間がある(いわゆる「すきっ歯」)
- 1〜2本だけ、少しねじれて生えている
- 歯並び全体が悪いわけではないが、前歯の一部だけがどうしても気になる
といったお悩みを抱えている方は少なくありません。
ただ、

- 「矯正までするほどではない気がする」
- 「ワイヤー矯正は見た目や期間が気になる」
- 「短期間で、できるだけ削らずに整えたい」
というお気持ちから、治療に踏み切れずにいる方も多いようです。
今回は、すきっ歯や軽い前歯のねじれが気になる方に向けて、
- まず考えておきたいポイント
- 矯正・レジン・セラミック、それぞれの特徴
- 当院が大切にしている「削りすぎない審美治療」の考え方
についてお話しします。
1. 「どこまで整えたいか」を最初に決めることが大切です
すきっ歯や軽いねじれの治療を考えるとき、いきなり「どんな材料を使うか」から入るのではなく、
まずは**「自分はどこまで整えたいのか」**をはっきりさせること
がとても大切です。
たとえば、次のようなイメージです。
- 写真を撮ったときにほんの少し目立たなくなればいいのか
- できるなら周りの歯と違和感がないレベルまで揃えたいのか
- 「完璧さ」よりも、歯への負担が少ない治療を優先したいのか
この「ゴールのイメージ」によって、選ぶべき治療の方向性が大きく変わってきます。
2. 正統派の選択肢は「矯正治療」
すきっ歯や軽いねじれの最も根本的な治療は、本来「矯正治療」です。
- ワイヤー矯正
- マウスピース型矯正(アライナー)
などの方法で、歯そのものの位置を少しずつ動かして整えるのが、解剖学的には最も自然なやり方といえます。
長所
- 歯をほとんど削らずに済む
- 将来、歯が割れたり欠けたりするリスクを増やさない
- 噛み合わせ全体とのバランスを整えやすい
短所
- ある程度の治療期間が必要(数ヶ月〜1年以上)
- 通院回数も多くなる
- 装置の見た目・違和感が気になる方もいる
- 自費治療の場合、費用が大きくなりやすい
当院は矯正専門ではありませんので、本格的な矯正が必要な場合は矯正歯科へのご紹介も含めて検討します。
「時間をかけてもいいので、できるだけ削らずに整えたい」
という方には、矯正治療を含めた選択肢をご説明したうえで、適切な医療機関と連携しながら進めていく形になります。
3. レジン(プラスチック)で少しだけ形を足して整える方法
すきっ歯がごく軽度で、
- 歯と歯の間が少し空いているだけ
- 歯のねじれはほとんどなく、すき間が主な悩み
という場合には、
歯をほとんど削らずに、レジン(プラスチック)を少しだけ足して形を整える
という方法がとれることもあります。
長所
- 歯の削除量が非常に少ない
- 1回〜数回の通院で終わることが多い
- 費用もセラミックより抑えられる
短所
- プラスチックであるため、経年的に色が変わりやすい
- 強い力で欠けたり、すり減ったりすることがある
- 大きく形を変えるには向かない(あくまで微調整向き)
当院では、変化が小さいケース・すき間がごく軽度なケースに限り、こうしたレジン修復をご提案することがあります。
4. セラミックで形と色を整える場合の考え方
前歯のすき間や軽いねじれに対して、セラミッククラウンやラミネートベニアで整える方法もあります。
- ラミネートベニア → 歯の表面を薄く削り、薄いセラミックのシェルを貼り付ける方法
- セラミッククラウン → 歯をぐるりと一周削って、被せ物を入れる方法
長所
- 色・形・透明感を細かくコントロールしやすい
- 変色しにくく、長期的な見た目の安定性が高い
- 数本まとめて整えると、笑ったときの印象が大きく変わる
短所
- 歯を削る量が、レジンや矯正に比べて多くなる
- 特にクラウンにする場合、歯質の削除量が大きくなる
- 噛み合わせや噛みしめの癖をきちんと見ておかないと、セラミックが欠ける・割れるリスクがある
5. 当院が「すべてセラミックで一気にきれいに」という提案をしない理由
巷では、
- 「短期間で歯並びをきれいに」「セラミック矯正」
- 「前歯をまとめてセラミックにして一気に印象アップ」
といった表現を目にすることもあります。
確かに、短期間で見た目を大きく変えることができるという意味では、セラミック治療は非常に強力な手段です。
一方で、歯科医師の立場から見ると、
- まだしっかりしている歯を大きく削ることになる
- パラファンクション(噛みしめ・歯ぎしり)が強い方では、将来の破折や脱離リスクも無視できない
- 将来、さらに他の歯を治療するときの”選択肢”を残しておくことも大切
といった点も考慮する必要があります。
当院では、
「全部セラミックにしましょう」と安易にお勧めすることはありません。
削る本数・削る量を最小限にしながら、どこまで整えればご本人の満足度が高いかを一緒に検討していくスタンスをとっています。
6. どんな順番で考えればよいか(当院での基本的な流れ)
すきっ歯や軽いねじれのご相談では、おおよそ次のような流れで診断・ご説明を行います。
① お口全体と噛み合わせのチェック
- 前歯だけでなく、奥歯の噛み合わせ・咬耗・歯周状態も確認
- パラファンクションの有無(すり減り、知覚過敏など)も確認
② 「どこまで整えたいか」を一緒に整理
- 気になる本数(本当に1〜2本なのか、もう少し広い範囲なのか)
- 「ここだけは整えたい」「ここは今のままでも構わない」という優先順位
③ 考えられる治療の選択肢を、削る量の少ないものから順にご説明
- 経過観察やレジン修復で様子を見る案
- 矯正治療(必要に応じて専門医への紹介も含む)
- ラミネートベニア
- セラミッククラウン
④ 費用・期間・メリット・デメリットを正直にお伝えする
- 「この案は歯に優しいが、時間がかかる」
- 「この案は見た目がきれいだが、削る量が多い」
といった点を、なるべく分かりやすく整理してお話しします。
⑤ その場で決めなくてもOK
- 実際の治療内容は、資料を持ち帰ってゆっくり考えてから決めていただいて構いません。
7. まとめ:「やりすぎない」ラインを一緒に探していきましょう
すきっ歯や軽い前歯のねじれは、
- すぐに命に関わるものではありませんが
- 毎日の生活の中で、じわじわと気になってくる部分
でもあります。
- 「きれいにしたいけれど、歯を削るのは怖い」
- 「矯正まですべきかどうか迷っている」
- 「話だけ聞いて、自分に合う方法があるか知りたい」
という方は、まずはカウンセリングでお口の状態と選択肢を整理するところから始めてみませんか。
当院では、
歯を守ること
見た目を整えること
将来の再治療のしやすさ
この3つのバランスを大切にしながら、**「やりすぎない審美治療」**のラインを一緒に考えていきます。
ご相談をお考えの方へ
「とりあえず相談だけ」「検査だけ」でも構いませんので、気になる方はお気軽にご相談ください。
当院では審美歯科の無料相談を行っております。是非ご利用ください!
いそ歯科医院 歯周病ホームページ https://www.isodent.
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